熊野地方の中心都市・新宮では、さまざまなジャンルのみどころを巡るウォーキングを楽しもう。世界遺産にも登録されている風光明媚な熊野古道高野坂を越えると、捕鯨基地として栄えた三輪崎へ至る。
新宮市街から、海沿いに続く熊野古道高野坂を越え、かつての捕鯨拠点のひとつ三輪崎を目指す。日本遺産・世界遺産・ジオパークと、みどころ満載のコースだ。
最初に向かう浮島の森は、約5000㎡の森全体が、実は沼地に浮かんでいるという不思議スポット。市街地に残された寒暖両性の貴重な植物群落は、国の天然記念物に指定されている。
続いては「寿司和食 まえ田」で鮮度抜群の地魚で昼食を。
近くの「maffably」にも立ち寄ったら、高野坂の登り口(広角側)へ。なお、この間のルートは少しわかりにくいのでタクシーを利用してもいい。
また高野坂を登る前に、王子ヶ浜を散策するのもおすすめ。登り口から並行する紀勢本線のガードを潜れば、浜に出られる。※
※大雨の後などは、ガード下が浸水し、王子ヶ浜に出られない場合があります。
高野坂は新宮から那智山へ向かう巡礼者がたどった道。往時の雰囲気をよく残し、世界遺産にも登録されている。広角側から少し登ると王子ヶ浜のビューポイントがあるので小休止。絶景を楽しみ、石畳が残る道をさらに進むと、日本遺産の「羽指中建立の石祠」 「鯨山見跡」がある。
坂を下ったら、海沿いに進んで三輪崎漁港へ。漁港の前には、ジオパークの孔島・鈴島が浮かんでおり、どちらも防波堤伝いに歩いて行ける。鈴島は大自然が造り上げた複雑な地形が見もの。孔島には、三輪崎や太地の鯨方が奉納した法華塔や石灯籠が残っており、「孔島厳島神社の石造物」として日本遺産に登録されている。
孔島では、夏に白い花を咲かせるハマユウをはじめ、約120種の植物を観察することもでき、鈴島にも約60種が群生。この暖地性植物群落は新宮市天然記念物に指定されている。
小さくとも豊かな自然に包まれた島を後にしたら、最後に三輪崎八幡神社へ参ろう。境内に鯨方の太地与一という人が奉納した石灯籠が残っており、鯨方の信仰を今に伝えている。また「三輪崎の鯨踊」は、この神社の例大祭で演じられるものだ。勇壮な古式捕鯨にしばし思いを馳せ、三輪崎駅から帰途につこう。