ここからは、日本遺産「鯨とともに生きる」の舞台に加えて、その他の熊野のみどころを効率よく巡るモデルプランをご紹介。
まずは、世界遺産の熊野三山や熊野古道も訪ねる1泊2日のプランから。
名湯に浸かり、名物を堪能し、熊野の魅力を味わい尽くそう。
2日目は、世界遺産に登録されている熊野信仰の聖地・熊野三山と熊野古道の旅を楽しもう。
午前中は那智山へ。勝浦から車やバスで直行できるが、山麓の大門坂駐車場に車をとめ、熊野古道の大門坂から歩いて巡るのがおすすめ。熊野古道は昔の人々が三山を巡礼するのにたどった道で、大門坂は当時の面影を美しく残しており、杉の巨木が林立する山中に苔むした石段が600mほど続いている。
坂を登り詰め、さらに山口光峯堂などのみやげ店が並ぶ参道の石段を上ると、熊野那智大社に着く。すぐ隣には、那智山青岸渡寺。熊野三山のひとつとして、両者は一体的に発展してきたもので、どちらも世界遺産に登録されている。
まず熊野那智大社にお参り。標高約400m、那智湾を望む清々しい境内に、壮麗な社殿が立ち並ぶ。6棟からなる本殿は国重要文化財。 那智山青岸渡寺は、西国三十三所観音霊場の第1番札所として知られる。豪壮な本堂は、豊臣秀吉が再建したものと伝わり、こちらも国重要文化財。本堂に向かって左には、日本遺産の魚霊供養碑が立つ。
続いて、急な石段を下って行けば、那智の滝が現れる。那智山の信仰は、この大滝を神と崇める自然崇拝に始まったといわれる。滝の前には熊野那智大社の別宮・飛瀧神社があり、御滝拝所からは、飛沫がかかるほど間近で聖なる大滝を仰げる。
那智の滝前バス停から路線バス(便数が少ないので事前に時間確認を)で大門坂駐車場へ戻り、車で勝浦の「bodai」へ。昼食に生マグロの料理を味わおう。
午後は新宮市へ向かい、熊野三山のひとつ熊野速玉大社を参拝する。境内には、緑の木々を背に鮮やかな朱塗りの社殿が立ち並んでいる。さらに大社の元宮である神倉神社へもお参りを。大社の南、神倉山中腹にある巨岩「ゴトビキ岩」をご神体とする古社だ。
熊野の神々ははじめこの岩に降臨し、景行天皇の時代に新しい宮(熊野速玉大社)を建てて、神々をお迎えしたという。そのため、神倉神社を元宮、熊野速玉大社を新宮とよぶようになり、「新宮」は地名ともなった。
参拝後は、新宮の町なかを散策。あるいは、那智・新宮と並ぶ熊野三山のひとつ、熊野本宮大社(田辺市本宮町)へ足を延ばすのもいい。新宮から車で1時間ほどだ。